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木を伐採・間伐することは森林に良い!?

木を伐採することは自然破壊になると考えられる方もいらっしゃると思います。

確かに、天然林・自然林をどんどん伐採して更新しなければ、その分森林面積は減少し二酸化炭素の吸収量の減少、そこに生物が暮らせなくなり生態系の破壊や質の低下、土砂災害の増加など自然破壊になってしまします。

しかし、人工林では、植栽した木を間引きして密度を調整する「間伐(かんばつ)」といった手入れを行わないと、木立の間に日光が差し込まず下草が生えないなどにより土壌が失われたり、土砂崩れの原因となったりします。

また、適切な伐採が行われないと、新しい木が植えられず高齢の木々ばかりとなり二酸化炭素の吸収量が低下するなど、森林の持つ多面的機能の低下につながってしまいます。

 

そこで、森林(人工林)を元気にするため、「植林」→「育成(間伐などの手入れ)」→「(成長した木を)伐採」、そして「利用する」というサイクルを回していくことが重要です。

それによって、健全な森林の育成とともに住みやすい環境と資源を持続的に得ることができます(いわゆる、バランスのとれた状態)。

 

間伐にも種類がある?

間伐は、木の成長により込み合ってきた森林において木の成長を促すために間引くために伐採することです。

間伐をすることによって、残った木にたくさん光があたるのに加えて地表にも日光が届くようになることで下草が生育しやすくなります。

このため、土壌の流出防止にもつながり、森林が土砂災害防止機能を発揮するためにも重要な保育作業です。

間伐されて良好な環境にある森林のイメージ

 

そのような間伐には、定性間伐(ていせいかんばつ)定量間伐(ていりょうかんばつ)に大別されます。

定性間伐(ていせいかんばつ)

将来木材としての利用価値が高いと思われる樹木を残す間伐です。

育成状態が悪い木、曲がっている木、折れたり傷が付いたりした木などを伐採します。

定量間伐(ていりょうかんばつ)

森林の密度などを踏まえて一定量の伐採を行う間伐です。

効率を重視して一列で切り取るため、育成状態が悪い木だけでなく良い木も伐採します。

機械的に一定量を伐採するため、伐採経費を抑えるメリットがあります。

その他の間伐?

『切り捨て間伐』など聞かれたことはあるでしょうか。

これは、間伐した材を集材せずに林内に放置することです。

間伐材を搬出するコストの方が高くつくために放置せざるを得ないという状況に見られます。

(野菜なども間引かれたものは廃棄されています)

間伐材じゃない木はどうなる?

間伐を行い大きく育てた木を収穫する際には主伐(しゅばつ)を行います。

主伐には皆伐(かいばつ)択伐(たくばつ)があります。

皆伐(かいばつ)

皆伐は、「みんな伐る」というその名のとおり「対象となる区画にある森林の樹木を全て伐採すること」です。

木が全部なくなってしまうので皆伐後はハゲ山と言われるような状態になり、周囲の環境に与える影響が大

きいことから、環境への負荷を低減するように場所、面積、その後の更新方法など検討が必要です。

択伐(たくばつ)

択伐は、「えらんで伐る」というその名のとおり「対象となる区画から一定の基準で樹木を伐採すること」です。

全てを伐ることなく、後継を育てながら森林の更新を図る伐採方法であり、長期にわたって森林を育てる『自伐型林業』としても注目されています。(ある意味、間伐ともいえます)

間伐材に限らず、木を適切に活用することが大事!

「間伐材を使っています」のような表示がある商品などを見かけたことがある方もいらっしゃると思います。

間伐材を使うのは良いことです!でも、間伐材を使うことだけが良くて他は良くないと誤解をしていませんか?

上記でふれてきましたが、間伐や主伐にもいろいろな方法があります。

そして、森林の育て方や間伐、主伐の方法によって伐採した際出てくる木の品質も様々です。

例えば、間伐した『間伐材』には成長具合の悪い低質木もあれば建築材料に使える品質の高い木もありますし、森林が成長後に主伐した『皆伐材』や『択伐材』にも質の低い木が一定数は入ってきます

『間伐材を活用しましょう!』というのは、「間伐材の中で比較的割合の高い低質材をうまく活用していこう」というのが主旨であって、間伐材だけが良いということではありません。

健全な森林を育成し、森林の多面的機能を発揮するためには、間伐や主伐をおこない森林の手入れを行うとともに、間伐や主伐で収穫した木を適材適所で活用することが大事になってきます!

木の活用の例

木材は品質によってA~D材にグレード分けされ、それぞれの用途に活用されます。

等級 木材の品質 主な用途
A材 直材 建築用材・家具材など
B材 小曲がり材、傷入りなど 合板用材、集成材、土木用材など
C・D材 大曲がり材、小径木など チップ材、木粉など(素材・エネルギー用など)

木材の価格としてはA材が最も高く、D材が最も低いです。

間伐をおこなうことは、残した木をA材のように品質・価格が高いものを育てる意味があります。

間伐材を使うことや環境への効果などに注目が行きがちですが、林業を持続可能な産業としていくためにも適材適所での木の活用を考えてもらえると嬉しいです(^^)

 

《参考・出展》

林野庁 https://www.rinya.maff.go.jp/

Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%90%E6%8E%A1

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