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化石燃料の代わりに森林資源が注目されるわけ  SDGsにも貢献!

近年、化石燃料由来の素材から自然素材への代替が進められています。

その自然素材として、森林資源=木材も注目されています!

どうして化石燃料ではなく自然素材が注目されているのでしょうか!?

化石燃料とは

化石燃料は、石油・石炭・天然ガスなどのことで、もともとは微生物の死骸や枯れた植物などの生物由来のものが数億年という長い年月をかけて変化したと考えられています。

石油は液体の状態で、主成分は炭化水素脂肪族です。主成分はいずれも炭素(元素記号はC)を含んでいます。

気体の天然ガスや固体の石炭も主成分には炭素を含んでいるのが特徴です。

これらには炭素の他にも水素(元素記号はH)なども含まれており、高い発熱量を持っているのが特徴です。ざっくりいうと、よく燃えます!

燃やすとたくさんの熱エネルギーを取り出すことができるため、化石燃料と呼ばれてきたようです

化石燃料は輸送や貯蔵が容易で比較的簡単かつ安定的にさまざま有機化合物に転換することができるため、様々な場面でたくさん利用されています。

石油の使われ方例

熱源: 火力発電所、事業所・店舗・家庭などでの暖房、コンロなど

動力: 飛行機、船、トラック、車など

原料: プラスチック製品、ゴム製品、合成繊維など

化石燃料はいいところばかり!?

熱源や動力、原料にまで使われ化石燃料があるからこそ便利な生活ができています。

しかし、化石燃料は便利に使える長所がたくさんある反面、短所もあります。。。

①燃やすと二酸化炭素(CO2)が発生する

主成分に含まれる炭素(C)は、燃える際に酸素(O)と結合して二酸化炭素(CO2)になります。

二酸化炭素は、窒素や酸素など空気中に存在する気体と比べて熱を吸収する効果が非常に高いため、排出量が増えて濃度が上がると地球がどんどん暖かくなってしまい生態系や気候の変動・災害の増加など多大な悪影響が懸念されています。

二酸化炭素など熱吸収が高い気体を温室効果ガスと呼ばれ、排出削減が求められています。

地球の温室効果

地球の温室効果

②燃やすと硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)が発生する

化石燃料の中には硫黄(S)や窒素(N)も含まれており、燃える際に酸素(O)と結合して硫黄酸化物や窒素酸化物が発生します。

これらは生物や環境に有害な物質であり、健康や環境保全の観点から外部への排出が規制されています。

③有限な資源であり、使い続けるといずれなくなる

石油などの化石燃料はできるまでに数億年の時間を要しており、再生が難しいといわれています。

地中や海底などに埋蔵されている量には限りがあるため、これが枯渇すると熱源、動力、原料などの利用ができなくなります。

④自然界で分解・消化されない

化石燃料やこれに由来する樹脂やゴム製品は自然界では分解されません。また、食べた場合もこれらを分解する消化酵素を生物が持ち合わせていないため

重油や海に流出したり、プラスチックのごみが自然界に排出されることで自然環境やそこに暮らす生物に悪影響が及んでいます。

分解する菌類・細菌類などの研究がされており、一部分解する細菌なども発見されたり、自然界で分解される素材の開発なども進められています。

マイクロプラスチックが生物の体内に蓄積されることで健康への被害も懸念されています。

便利な点も気を付けないといけない点もある化石燃料

どのように付き合っていけばいいのでしょうか?

持続可能な社会の実現にむけて

化石燃料は地球上で長い年月をかけてできたものであり、その意味では自然にある素材です。

しかしながら、長年地下深くで貯蔵されてきた炭素(C)などが温室効果ガスとして大気中に排出され、地球の温暖化が進んだり、プラスチックごみやマイクロプラスチックによる環境汚染・健康被害を考えるとより環境に優しいものが求められています。

プラスチックごみ削減や温室効果ガス発生削減、そして持続的なエネルギー源確保の観点から、自然素材である「森林資源・木材」が注目されています。

森林資源のメリット

石油などの化石燃料の課題に対して、森林資源や木材が持つ機能が注目され持続可能な資源として注目されています。

①炭素を固定する

植物である草や木は成長する際に「光合成」を行います。

光を浴びることにより、二酸化炭素(CO2)と水(H2O)を吸収して有機物のグルコース(C6H12O6)を生成しあわせて酸素(O2)を放出します。

6CO2+12H2O ⇒ C6H12O6+6O2

大気中の二酸化炭素を吸収して、炭素(C)を植物の体(=木材)とするため、森林は温室効果ガスの吸収源として期待されています。

木が大きくなった分だけ、二酸化炭素をたくさん吸収したということができます!

しかし、木材も無限に大きくなるわけではありませんし、大きくなるについて成長量は減っていきます。

また、植物も酸素を吸って二酸化炭素を出す「呼吸」も行っているため成長の程度や環境によっては二酸化炭素の排出が大きくなる場合もあります。

大きく育った木を化石燃料由来の製品の代替として使うことは、

・本来化石燃料が排出するCO2・環境負荷を削減する

・大気中のCO2を吸収し、CO2の濃度低下に寄与する

というメリットが期待されています。

伐採された後に、次世代の木が育つことでCO2吸収の循環は続きます。

②エネルギー利用が可能

料理やお風呂などは、今はガスや電気を使いますが化石燃料が広く普及する以前は、燃料には木材が(まき)と一般的に使用されていました。

杉の薪を燃やして焚火

電気を作るための方法として、「火力発電」があります。
これは、火を燃やして水を沸かした蒸気の力でタービンを回すという方式で、燃料には熱量の高い化石燃料(石炭、石油、天然ガスなど)が使われています。
近年では、火力発電の燃料に木材を使用できる形式のものもできています。木材を燃料とするタイプの発電は、従来の化石燃料を使用するものと区別するためにも「木質バイオマス発電」と呼ばれています。
発電以外にも、薪ストーブやペレットストーブなど調理や暖房設備として木材を使用できるものも増えています。

③再生のスパンが短い

日本においては、植林した木を建築材料などに使用するまで数十年の時間を要します。

自分たちが植えた木は、孫世代になってようやく使えるようなイメージであり、人間の一生が長くて100年だとしても長い時間のように感じます。

しかし、地球の時間で考えると、化石燃料が数億年の時間を経てできたのに対して、木が成長する数十年というのは非常に短い時間間隔(スパン)と考えられます。

先ほどの②のエネルギー利用でふれたように木を燃やすとせっかく吸収した二酸化炭素が再度大気に放出されてしまいます。

しかしながら、再度森林が二酸化炭素を吸収し再生産が行われれば、循環する二酸化炭素の総量は変わりません。(化石燃料を燃やして排出された二酸化炭素を吸収するためには森林を増やすなど炭素固定機能の維持だけでなく増大が必要になります)

④材料としての利用が可能

木の主要成分は、セルロース、ヘミセルロース、リグニンです。

また、フェノール類などの抽出成分も含んでいます。

森の香りの元であるフィトンチッドなどもこの抽出成分の一種です。

木材の成分構成比

出展:農林水産省ホームページ

各種成分は、石油由来のプラスチックやゴムの代替素材の原料としても期待されています。

⑤適切な管理が国土保全に貢献

木を伐採することは自然破壊になると考えられる方もいらっしゃると思います。

確かに、天然林・自然林をどんどん伐採して更新しなければ、その分森林面積は減少し二酸化炭素の吸収量の減少、そこに生物が暮らせなくなり生態系の破壊や質の低下、土砂災害の増加など自然破壊になってしまします。

しかし、人工林では、植栽した木を間引きして密度を調整する「間伐(かんばつ)」といった手入れを行わないと、木立の間に日光が差し込まず下草が生えないなどにより土壌が失われたり、土砂崩れの原因となったりします。また、適切な伐採が行われないと、新しい木が植えられず高齢の木々ばかりとなり二酸化炭素の吸収量が低下するなど、森林の持つ多面的機能の低下につながってしまいます。

伐採が行われない人工林の状態

そこで、森林(人工林)を元気にするため、「植林」→「育成(間伐などの手入れ)」→「(成長した木を)伐採」、そして「利用する」というサイクルを回していくことが重要です。
それによって、健全な森林の育成とともに住みやすい環境と資源を持続的に得ることができます(いわゆる、バランスのとれた状態)。そのためには、人工林で育った木材を、私たちがもっと利用することが必要です。

伐採されて森林の多面的機能を発揮している状態

出展:政府広報オンライン https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201310/3.html

地球温暖化・気候変動の影響により、雨の降り方が以前とは異なってきており、日本では毎年のように洪水や土砂災害が起こっています。

木を使い、山の管理を進めることで森林の多面的機能が発揮されればこれらの災害も起こりにくい国土の強靭化にもつながります!

木質由来の新素材開発

工業製品の材料としての木材の活用も進んでいます。

CNF(セルロースナノファイバー)は「鉄の5倍の強度を持ち、重量は1/5」などとその機能や可能性が注目されています。

国産木材を粉砕加工した「木粉」からさまざまな製品も生まれています。

木材を粉砕加工した「木粉」

木粉を活用した製品

いろいろな場面で活用が進んでいますので、お買い物の際に原料をチェックいただくと「えっ、こんなところに木が!?」というものもあるかもしれません。

木を使うことによって、得られる新たな機能というのもおもしろいですよね♪

見かけた際には、是非木を使った製品をお選びいただけると嬉しいです(^^)

木粉や木粉活用製品はこちら↓

http://www.mokufun.nakawood.co.jp/

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