世界の森林から見えてくる、日本の豊かさと可能性

私たちの暮らしに欠かせない「森林」。その存在は、空気や水をきれいにするだけでなく、木材という資源を通じて、住まいや道具、さらには文化にも深く関わっています。けれども、世界の森林は今、さまざまな課題に直面しています。
世界の森林はどこにある?
地球上の森林面積は、約40億ヘクタール。これは地球の陸地の約3割に相当します。地域別に見ると、最も森林面積が広いのはヨーロッパ、次いで南米、北中米と続きます。国別では、ロシア、ブラジル、カナダ、アメリカ、中国が上位を占めており、いずれも広大な国土を持つ国々です。


しかし、森林が多いからといって安心はできません。実は、ブラジルやインドネシアなどでは、毎年約1000万ヘクタールもの森林が失われています。その主な原因は、農業用地への転換。森林を伐採して畑や牧場にすることで、自然のバランスが崩れ、生態系にも大きな影響を与えています。
日本の森林はどうなっている?
そんな中、日本の森林はどうでしょうか。日本の森林面積は約2500万ヘクタール。世界全体の森林面積のわずか0.6%に過ぎません。しかし、注目すべきは「森林率」、つまり国土に占める森林の割合です。
日本の森林率は約67%。これは世界第22位、OECD(経済協力開発機構:民主主義と市場経済を支持する38ヵ国が加盟する国際機関)の中では第3位という高い水準です。国土の約3分の2が森林に覆われている日本は、まさに「森林に恵まれた国」と言えるでしょう。

さらに、日本の森林は過去60年間ほとんど面積が変わらず、安定して保護されてきました。木の蓄積量(森林にある木材の量)も年々増加しており、過去60年で約3倍に達しています。これは、先人達が森林を健全に育くんできた証です。


森林を守るだけでなく、活かすという選択
これまで日本は、森林を守ることに力を入れてきました。これからは、その豊かな森林資源を「活かす」ことも求められています。木材を使った建築や製品、地域産業の活性化など、森林を活用することで、環境にも経済にも優しい循環が生まれます。
森林は、ただの自然ではありません。私たちの暮らしと未来を支える、大切な資源です。世界の森林の現状を知ることで、日本の森林の価値と可能性を改めて見つめ直してみませんか?
《参考》
林野庁「森林資源の現況について」
林野庁「世界森林資源評価(FRA)2020メインレポート概要」
国土交通省 「国土利用の現状(データ)」
公益財団法人国際緑化推進センター「世界の森林の現況及び森林減少・劣化の要因」
グローバルノート「世界の森林率 国別ランキング・推移」