竹と木は何が違うの? タケの生理生態や種類とは

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木と竹はどちらも森林の扱いになることは過去の記事でもご紹介しました。

同じ森林に生えているものでも、木と竹って何が違のでしょうか?

今回は竹について調べてみましょう!

竹の生理生態

竹の分類

まずはwikipediaを見てみましょう。

竹(wikipedia)
竹(タケ)とは、広義には、イネ目イネ科タケ亜科に属する植物のうち、木本(木)のように茎(稈)が木質化する種の総称。

なんと、竹はイネ科です!イネとは稲、つまりお米の仲間です。

分類を詳しく見ると、竹は植物界・被子植物・単子葉類・イネ目・イネ科・タケ亜科に属します。

竹林の様子 そういわれると稲と似ているかも!?

では木はどのような分類になるのでしょうか?杉と比べてみましょう

杉:植物界・裸子植物門・マツ綱・マツ目・ヒノキ科・スギ亜科・スギ属・スギ種です。

分類によると、スギはどうやらマツやヒノキの仲間のように感じますね!

《豆知識:分類の区分》

生物の分類には界(かい)・門(もん)・綱(こう)・目(もく)・科(か)・属(ぞく)・種(しゅ)という段階ごとに仲間分けを行っています。

たとえば私たち人間は動物界・脊椎動物門・哺乳綱・霊長目・ヒト科・ヒト属・ヒトですよ~

生物で習うので是非調べてみてください!(授業で「カイ・モン・コウ・モク・カ・ゾク・シュ!」って言わされたのが懐かしいです)

竹類の生理生態

幹と稈の違い

タケ類は樹木と違い幹(みき)ではなく稈(かん)を持ちます。

この稈には樹木にみられる形成層(けいせいそう)がなく維管束(いかんそく)が散在しています。

樹木は一年一年太くなっていきますが、これは形成層という幹が成長する部分があるからなのです。

一方でタケ類には維管束しかありません。維管束というのは水分や栄養分を運ぶ機能がありますが、形成層のように肥大成長することはありません。

この生理生態から樹木とは明確に区分されています。

木のようになる!?

イネ科の稲(イネ)は田んぼに春植えて夏・秋に収穫しますよね。一度花を咲かせ、実(=米)をつけると後は枯れてしまいます。

このように1年周期で世代交代する植物を単年性植物と呼びます。

一方でタケ類は、一年では枯れずに数年間生えている多年生植物です。この数年のうちに稈にリグニンが蓄積して木化(もくか)、つまり木のように固くなると言われています。

固い竹も最初はタケノコです。あの柔らかいタケノコが成長して固い竹になるとは不思議です!

竹は何でできているの?

タケが固くなるのには木には無い成分も関係しています。

タケ類は春にタケノコを出します。タケノコの9割が水分ですが、残る1割のうちのタンパク質、炭水化物、食物繊維が 1/3ずつを占めます。木とは違って栄養が豊かなようです。

その他にもリン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄やいろいろな微量元素(ミネラル的なもの)もたくさん含まれています。

カルシウムも入ってるなんて丈夫そう!

参考↓

たけのこの成分・栄養

また、タケ類はタケノコに含まれるような無機養分に加えてケイ酸を土壌から吸収します。

ケイ酸はガラスの主成分でもあるような固い性質を持ちます。これは細胞壁や細胞内に蓄積し、細胞壁の構造を強化する機能を持ちます。

ケイ酸は一般的な土壌中に含まれるものの、それを吸収して利用する植物種は限られています。

つまり、他の種との栄養の奪い合いがなく、いつでも竹が利用できるケイ酸があることでタケ類が生産地を拡大させているのかもしれません。

みんなが使わないものを使うのがタケの生存戦略か!?

タケの種類

日本では竹と言えば、食用のタケノコが成長したものというイメージが強いのではないでしょうか?

タケ類には23種もあります。もちろん種によってタケノコの形や味も異なりますよ!

(ちなみに、タケ亜科にはササ類があり、ササ類は76種も種類があります。)

国内ではマダケ属の孟宗竹(モウソウチク)、淡竹(ハチク)、真竹(マダケ)などがよく知られています。

私たちが食べているタケノコで最もポピュラーなのが孟宗竹(モウソウチク)のタケノコです。

孟宗竹のタケノコ

この孟宗竹は全国各地で見られますが、実は日本の固有種ではないんです。。。

1740年ごろの江戸時代に中国から導入されたという記録があり外来種になるんですね。

今では一般的であり、ふるさとの風景でもある竹林ですが昔はどんなんだったんでしょうか。

《豆知識:杉は固有種?》

ちなみには、学名が「Cryptomeria Japonica(隠された日本の財産)」にもなっているとおり日本固有の在来種です。

杉は植林された人工林のイメージがあるかと思いますが、天然林で育った杉ももちろんあります。自然に生えていた杉がすごい良かったため、たくさん使うためにいろんなところに植えたんでしょうね!

タケの成長・繁殖

樹木は花粉を飛ばし受粉して種を飛ばして繁殖します。

そして、種子・実の量の増減はあれ、毎年行われます。

(なので花粉症の方は毎年大変ですよね(;^_^A)

イネ科のタケ類も、稲と同じように花を咲かせ種子を作りますが毎年というわけではありません。

タケ類の開花周期は特に長く、マダケではおよそ120年と推定されています!

タケ類は開花後に多くの場合、枯死することが確認されています。マダケなどは開花してもほとんど種子を生産せず、枯死後に生き残った一部の地下茎から新たなタケノコを出し世代をつないでいます。

徳島でも最近一定規模の竹林の枯死があったと聞いています
では、花が咲かない間はどうするのか?
当記事中にもすでに書いている通り、タケ類は地下茎からタケノコを出して世代をつなぎます。
モウソウチクの成長はタケ類の中で特に早く、1年間で地下茎を数mも伸ばしたし、タケノコは地上に出てからわずか数か月で20mを超える高さまで伸びて伸長成長をほぼ完了させます。
タケノコは親竹や地下茎に蓄えられた養分をつかって成長するため、近くに竹が生えていればどんどんとタケノコが出ます。
そしてタケノコが竹になり、地下茎を伸ばし、またタケノコを生やすというループを繰り返して竹林はどんどんと拡大しています。
日本では、こうして竹林が拡大していくことが竹害と呼ばれています。周囲のもともとあった植生や環境に侵入するためさまざまな影響が懸念されています。
日本の固有種でもないし、しっかり管理しないといけないね!
《豆知識:木の更新もいろいろ》
樹木はタケのように地下茎での繁殖はありません。
ただし、広葉樹などでは切り株から新しく芽が出る萌芽更新(ほうがこうしん)が行われます。
木を切り倒しても、切り株から出た芽が成長することで永続的な資源となります。
スギなどの針葉樹は植林する苗木を育てる際には挿し木という手法も使います。
簡単にいうと、枝から根っこを出して育てるとうものです。
(トマトの脇芽を土にさして育てるイメージ)
木の成長・繁殖にも人の手が加わることでいろいろとバリエーションがありますね!

まとめ

同じ森林といえど、木と竹では生理生態が全然違いましたね!

・竹は木ではなくイネ科の多年生植物
・木の幹のように竹の稈には木質成分が含まれる
・竹は他の植物が使わないケイ酸を吸収する
・地下茎からタケノコをだして生息域が拡大する
・100年などの周期で開花し、多くの場合はその後枯死する
竹については利用法や加工についても木と比較しながら記事にしていきたいと思います!
参考:日本森林学会編 森林学の百科事典
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