樹木の香り

私たちの周りは、知らず知らずのうちに心を癒してくれる木々の香りで溢れています。今回はそんな「香木」にスポットを当ててご紹介します。
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「三大香木」とは?
日本には「三大香木」というものがあります。それは、春のジンチョウゲ、夏のクチナシ、そして秋のキンモクセイです。それぞれ香りが強く季節の変化を感じさせてくれる木々です。
ジンチョウゲ(沈丁花)
ジンチョウゲは室町時代に渡来したと言われる中国原産の樹木(高さ1~2m)です。冬の終わりに春の訪れを告げるようにひっそりと咲くジンチョウゲは、控えめな花姿からは想像できないほど、甘く上品な香りを放ちます。まるで春の足音が聞こえてくるようです。

クチナシ(梔子)
クチナシは日本に自生する樹木(高さ0.5~2m)です。6月から7月にかけて花を咲かせ、純白の花弁と甘く濃厚な香りが特徴です。香水の原料としても使われるほど、その芳香は人々を魅了し続けています。

キンモクセイ(金木犀)
キンモクセイは中国原産の樹木(高さ3~6m)です。9月から10月にかけてオレンジ色の小さな花を咲かせます。その香りは、街中を歩いているだけで、どこからともなく漂ってきて、私たちをほっとさせてくれる秋の風物詩的な存在です。トイレの芳香剤の匂いと言われることも多いですが、キンモクセイの魅力的な香りを人工的に再現したものが芳香剤として販売されているというのが正しいです。

三大香木以外にも香りのある木がある!
香木と呼ばれるのは、花が香る木だけではありません。葉や落ち葉が香る木々があります。
クスノキ(楠・樟)
クスノキは葉が香る代表的な樹木(高さ20m以上)です。公園や神社などでよく見かけるクスノキですが、その葉を揉んでみると、スーッとした清涼感のある香りがします。この香りは「カンフル(樟脳)」と呼ばれ、昔から防虫剤や医薬品として利用されてきました。タンスの引き出しに入っている防虫剤の香りを想像すると、ピンとくる方も多いのではないでしょうか。クスノキは葉を落とさない樹木(常緑樹)ですので、1年中香りを楽しむことが出来ます。
カツラ(桂)
秋の紅葉シーズンにぜひ注目していただきたいのが、カツラです(高さ20~30m)。カツラは秋に葉を落とす樹木(落葉樹)で、ハート形の可愛らしい葉が黄色く色づき地面に落ちると、あたり一面にカラメルのような甘い香りが漂います。この香りの正体は「マルトール」という成分。雨上がりの日には特に強く香り、まるで森の中の隠れたお菓子屋さんのようです。

まとめ:香木で季節を感じてみては
香木は、私たちに癒しと安らぎを与えてくれるだけでなく、季節の変化や自然とのつながりを感じさせてくれます。花が咲く時、葉が色づく時、それぞれの季節の移ろいとともに、香りの変化を楽しむことができます。
今回紹介した樹木はどれも公園、街路、神社などで見られるものばかりです。みなさんの身近にもあると思いますので、探してみてください。普段気にしない木の特徴に気づくと、きっと楽しいですよ!
《参考》
葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑 ナツメ社
樹木の葉 山と渓谷社


